2026年4月24日金曜日

奥様、お手をどうぞ 13

ドニア「ヴラド、この木はなあに?」
始祖「ん? ああ、ブラッドフルーツだ」
始祖「前作『ザ・シムズ3』では『血清フルーツ』なる木の実があったが、おそらくそれと同等品だろう」 ← メタ発言
ドニア「……… 『ザ・シムズ3』って何だよ」
始祖「ベジタリアンなヴァンパイアにとっては最高のおやつだ」
ドニア「ふうん」
ドニア(ちょっとリンゴに似ているかな)
始祖「何だ、これは?」
ドニア「ブラッドフルーツのパイさ リンゴの代わりにブラッドフルーツを使ってみたのさ」
始祖「…おまえ、これが俺の大好物だとなぜ知っている」
ドニア「え? そうなんだ 良かった♪」
始祖(…まずった)
ドニア「味はどう? 気に入ってくれた?」
始祖「まずくはないな また焼いたら食ってやらんこともない(意訳:とってもおいしいね また焼いてくれ)」
ドニア「………」
始祖「ん、急に黙りこくってどうした?」
ドニア「…… ちょっと昔のことを思い出して」
アップルパイはあたしの得意料理だった
いつだったか、ジャッコが急に怒り出した
俺のパイより、あやしのパイのほうがでかい えこひいきだって
あわや大げんかになりそうになった時、コナーが言ったんだ
それなら、ひと切れずつ重さを量ればいいじゃん
パイは5切れともまったく同じ重さだった 
「ジャッコって誰だよ」とも「コナーって誰」とも、
ヴラドはあたしに訊ねはしなかった
彼もまた愛する者を喪う辛さも悲しみも知っているのだ
だから、黙ってあたしのとりとめもない話を聞いてくれた
ただ、あたしの気持ちに寄り添うために…
ドニア「ヴラド あんたって意外と優しいんだね」
始祖「は? 俺が優しいだって? ちゃんちゃらおかしくって、へそで茶を沸かすぜ」
ドニア「……」
そう、こいつは人からほめられるのが不得手のようだ
照れ隠しにぞんざいな物言いをする彼が、ますます好きになっていった



2025年11月29日土曜日

ヴラディスラウス・ストラウドの退屈












※お詫び:第4話において「テトラドトキシン」と誤記してしまいました 正しくは「テトロドトキシン」、いわゆる「ふぐの毒」のことです


2025年11月28日金曜日

子供の情景 12

お嬢「針も糸も使わずに 仕立てておくれ 麻のシャツ♫」 
お嬢「枯れた井戸で そのシャツを洗ったら
僕らは 恋人同士に戻れるだろう♪」
お嬢「♫」
始祖「その歌、覚えていたのか」
始祖「うちの執事がサラ(=おまえの母親)の枕元で歌っていた子守歌だ」
お嬢「へえ」
始祖「おそらく、サラも幼いおまえの枕元でその歌を歌っていたんだろうな」
お嬢「不思議ね かあさまの顔もよく覚えていないのに」
始祖「今日から高校だろう ずっこけ3兄弟が迎えに来てるぞ、お嬢」
お嬢「行ってきます、おじさま」
始祖「ああ、気をつけてな」
パセリとセージ、ローズマリーにタイム♪
呪文のように 繰り返す
あなたが 受け取った 愛を
今度は あなたが 別の誰かに 注いでいく
そうすれば
愛は 消えてなくなったりはしません
思いは つながってゆくのです
スカボローフェアに 行ったなら
パセリとセージ、ローズマリーに タイム♪
こよなく愛した あいつに 伝えておくれ
…今でも おまえを 愛している、と♬

参照記事:存在の耐えられない重さ「時には昔の話を 1」